2020.11.24

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【VG Weekly Highlight #2】

Vendee Globe スタートから15日、ここまでの他チームのレースハイライトをお伝えします。

スタートから15日間が過ぎ、Top船団は赤道を超え南緯30度まで南下。最下位は、トラブルでスタート地まで戻った優勝候補だったジェレミ(JÉRÉMIE BEYOU/CHARAL)で、その差は約3,000nm(5,600km)。

ここでは紹介しきれないが、順風満帆にレースを続けているチームは一つもない。大自然を相手に一人で挑むこのレース完走をするためには、トラブルをいかに乗り越えていくかが大きなポイントとなる。

■メインセールを修繕し、再び走り出した白石
既にお伝えしている通り、洋上でメインセールの修繕作業を終えた白石は、再び走りだした。揺れる船内での作業は困難を極めるものであったが、持ち前の精神力とショアクルーからの適格なアドバイスで難局を乗り越えた。白石の前方には600nm(1,020km)の距離の中に、合計10艇の2つの船団が走っており、ここから順位を巻き返したいところだが、白石はレース序盤の関門である無風地帯ドルドラムに捕まってしまっている。
無風だと風が吹くまで暇なのかなと思われがちだが、僅かな風を拾って、少しでも前に進み無風帯から脱出しなければならない為、セールの微調整などでスキッパーは大忙しだ。スキッパーにとっては、同じ方向から一定の風が吹いている時が体を休める事の出来る状態なのだ。と言っても、VGではレース中に、船の点検や修理、メディア出演なども行う為、スキッパーに休む暇はない。

■優勝候補に襲い掛かったトラブル
順調にレースを進め、常にTop争いをしていた出場5回目のアレックス・トムソン(ALEX THOMSON/HUGO BOSS)もトラブルに見舞われた。レース13日目の11/21に船内を点検していたところ、船内前方のバルクヘッドにクラックが発生しているのを発見した。
白石と同様に、艇速を落とし航路を保ちレースを続けながら、ショアクルーやボートビルダーと連絡を取り合いリペアする事になった。順位は5位まで後退してしまったが、約2日間をかけて修繕した。「最初はがっかりした。けれども、とにかくポジティブに考えて、不可能な事なんて何もない!と信じていた。今は再びセーリング出来る事が嬉しいよ」とコメントを残し、長いレースで巻き返しを図る。

■最初のリタイヤ
レース7日目にディスマストしたニコラ・トルセル(NICOLAS TROUSSEL/CORUM L’EPARGNE)は、レース続行が不可能となったため、リタイヤを表明。その後、カーボベルデ諸島へと入港し、チームのサポートを待つことになった。今回VGに参戦している新艇の中で、一番最後にドックアウトしたニコラのディスマストは、他チームも専門家の調査結果や見解に注目している。
また、CORUM L’épargneの代表はニコラと一緒にTransat Jacques Vabre 2021 とRoute du Rhum 2022 を目指す意思表示をした。

■女性スキッパー達の奮闘
フォイル艇で参戦している2名の女性の内、イザベル(ISABELLE JOSCHKE/MACSF)は、ジェネカーのシートブロックが壊れた影響で船尾パルピットと配線がもぎ取られてしまった。応急処置で安全性は確保したが、復旧作業は決して簡単ではない。「スタートしてからトラブルは初めてではない。気が滅入るけど、先ずは安全第一。今はフラストレーションとの闘い。悔しいけど自分のレースを作り上げていく」とそれぞれのスキッパーに物語がある。
白石の前を走る26位のアレクシア(ALEXIA BARRIER/TSE – 4MYPLANET)は、11/18に「昨日はハードな1日だった。休息が必要だと体がサインを出したので少し寝た。40分の仮眠を繰り返しトータル4時間の睡眠。セールチェンジを何度もしたけど、重労働。ジェネカーは80kg。私は56kg!2回もセイルを上げたら1日の運動量消化だよ!」とコメントを残している。

■Top争い
 アレックスの失速を横目に、Transat Jacques Vabre2019で優勝したシャルリー(CHARLIE DALIN/APIVIA)がTopに立った。2位は2016年に未確認物体に衝突し船に亀裂が入りリタイヤしてしまったトマ(THOMAS RUYANT/LINKEDOUT)。僅か23nm(42km)差でぴったりとシャルリーを追いかけている。前哨戦となった7月のVENDÉE-ARCTIQUE-LES SABLES D’OLONNEでは、10日間で3,566 nm (6,600 km)に及ぶレースをしたのにも関わらず、20分差でそれぞれ2位と3位でフィニッシュしており、今後もこの2人が熾烈なTop争いを繰り広げていくのかが注目だ。

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