2016.12.05

NEWS / BOAT LOG

Spirit of yukoh boat log #32

December 5th, Update @UTC 15:43
艇速5.5knt(機帆走)
24℃
ケープタウンまで207マイル

朝から風が無くなりエンジンで走る。エンジンの封印を切るのは辛かった。
日本のスポンサーはじめお世話になった方々へ衛星電話をかけた。
皆さんに暖かい言葉をいただき、うれしい反面申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
枯れたはずの涙がまたあふれ出る。とても言葉にならない思いだ。
その後、ヴァンデ・グローブの生中継。本当は出たくないのだが、逃げるわけには行かない。
あと、最後にちゃんとフランスのファンの皆様、スタッフの皆様にお礼を言わなければならない。
日本人初出場に対し、本当に歓迎していただいた。心から感謝の気持ちを伝えたかった。
これは何とか笑顔で乗り切れた!

午後はデッキ作業に戻る。
クルーは反対したが、今日マストに登った。ちゃんと安全は確保したから安心してください。
マスト上部のスプレッダーや絡んだコード、ステイ関係をすべて取り除く。
大変危ない作業だったがうまくできた。
マスト上部は立てに竹を割るように亀裂が入っている。
無理をするとそこが避けてまた倒れる危険性があることを確認した。
一度降りてから再び下のスプレッダーまで登る。
上に支点を作り、メインセール4pリーフまで上げる事に成功。
これで向かい風が来てもある程度上れるはずである。

マストについていたAISが壊れてので、緊急用のVHFアンテナを改造してサイドステーに取り付ける。
うまくいったようで、ちゃんとナビゲーション上に他船が確認された。
これはよかった。入港時に本船が多いのでこちらの船を認識してくれるだろう。
今はこの船にはマストライトが無い。夜はデッキの航海灯を点灯して走っている。
AISが確立できて、安全性がかなり高まった。
細かな作業もあるが、まだまだケースタウンで気が抜けない。
後200マイル。がんばらねば。

スタッフから皆様の暖かいメッセージを頂きました。
心から感謝申し上げます。
またフランスや多くの外国の方からも頂きました。
このレースを通じて多くの友人ができたことをうれしく思います。
何より、他のスキッパーからも多くのメッセージを頂きました。
同じ嵐を乗り越えた同士たち、心からのメッセージに感謝です。
ナンドール ファーさんはユーコーを乗せて走ってくれるそうです。
JPディックさん,kojiはまだこのレースにいる、kojiからもらった醤油が乗っているから。
スキッパーの皆さんはみんな誇りに思うようにとメッセージを頂きました。
なかでもコンカルノーでお世話になったビルー(ローランジョルダン)がメッセージをくれました。
彼はサフランチームの監督で、今回チームは同じくリタイアを表明しました。
ケープタウンでラダーを直し、フランスまで回航中に洋上から送ってくれました。

「今、コンカルノーへ航海中の私(ビルー)含め、スタン、クレマンから残念の言葉しか思い浮かびません。
航海中の3人とカイロスのみんなは悲しんでいるし、白石さんとチームのことを今想っています。
白石さんが健康で怪我をしていないことをながっている。
我々サフランチームはリタイアしましたが、ポジティブにこの試練を受け止めて、白石さんにもこの思いを伝えたいと思っている。
コージは偉大な人です。精神の偉大さ、優しさ、そしてこのプロジェクトへの思いは人一倍だったと思う。
この辛い思い、リタイアすると言う一言、このアドベンチャーが一瞬で終わることは僕もヴァンデグローブを2回リタイヤしたからわかる。
でもこの旅はこれで終わりではない。雨の後には晴天が来るということは忘れないでほしい。
ケープタウンに早く安全に帰還してほしい。そこには暖かいお迎えが待っていますから。
もしケープタウンで必要なことがあれば何でも聞いてください。
また近々会おう!」
BILOU

そうだね。このヴァンデ・グローブは一瞬で終わることを今回しみじみ感じました。
日本人初出場初完走。どうやら僕が甘かったようです。
優勝争いをしているアレックスも他の名スキッパーも何度と無く涙を呑んで再び挑戦している。親友のベルナールは4度もリタイアを余儀なくされた。
みんな何度も何度も辛い思いをして立ち上がったなんだなと感じるメッセージでした。

康次郎

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