2020.11.17

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【VG Weekly Highlight #1】

Vendee Globe スタートから8日、ここまでの他チームのレースハイライトをお伝えします。

現地フランス時間、11/8(日)14:20に第9回目のVendee Globeが遂にスタートしました。世界一過酷な舞台に挑むのは、9ヶ国から集まった33人のスキッパー達。

白石は、2016-2017の第8回大会に続き、2度目の出場となる。前回のリタイヤから4年、自身初めての新艇で挑むレースで、完走を目指す。

例年、スタート地のレ・サーブル・ドロンヌには、多くのヨットファンが集めり、街が賑わうが、今年はCovid19によるロックダウンの影響で、無観客での開催となった。名物の水路脇の観衆は、外出規制で見る事ができなかったが、水路脇の住民がテラスから応援する声が響いた。

スタートの予定時刻は13:02だったが、スタート海面が濃霧に包まれたため、4回ほど延期され、14:20にスタートした。

■ルイ・バートンのフライング
良いスタートを切ったように見えた、ルイ・バートン(LOUIS BURTON/BUREAU VALLEE 2)は、号砲よりも前にほんのわずかにスタートラインを超えており、フライングの判定を下された。大会の規定で、彼には5時間のペナルティが課された。

■スタート早々にトラブルに見舞われる各艇。
スタート早々の初日、ファブリス・アメデオ(FABRICE AMEDEO/NEWREST – ART & FENÊTRES)がハリヤードフックのトラブルを抱え、スタート地点に引き戻す事を決断。港でリペアをし、2日後に再スタートを切った。
※VGでは、スタートしてから10日間はスタート地点に戻っての、修理/再スタートが認められている。

ファブリス以外にも、地元レ・サーブル・ドロンヌを拠点に活動しているアルノ・ボワシエール(ARNAUD BOISSIÈRES/LA MIE CÂLINE – ARTISANS ARTIPÔLE)もジェネカーを下ろす事ができなくなり、早速マストに登っている。また、パラリンピックで金メダルを獲得している隻腕セーラーのダミアン・セギャン(DAMIEN SEGUIN/GROUPE APICIL)も船底のキールに漁網が絡まり、ダイビングをして除去した。本来、マスト登りやダイビングなどの危険な作業を伴う場合は、レース委員会へと作業開始の前後に報告しなければいけないが、二人とも事前連絡をしなかったため、レース委員会から注意を受けた。

■Mr.Vendee Globe ジャン・ル・カム
最多5度目の出場を誇る、61歳のベテラン人気スキッパー、ジャン・ル・カム(JEAN LE CAM/YES WE CAM!)。ビスケー湾を抜け、スペイン寄りのコースで南下していたジャンは、疲労から眠りに落ちてしまった。目が覚めた時には、大陸から7マイルの地点で間一髪であった。ベテラン選手でも、このような事が起こるので、まったく気の抜けないレースだ。

最新のフォイル艇にスポットライトが当たるこのレースで、ノンフォイル艇のジャンは、ベテランらしい走りを見せ、Top争いをしている。「フォイル艇と並んでる。おかしいだろ⁉️普通じゃないぜ⁈ジャーナリストは色々戯言言っていたけど、『行動は言葉よりも雄弁』と船に貼っとくよ。」とコメントを残している。

■新艇のトラブル
DMG MORI SAILING TEAMの白石以外に新艇で挑んでいる選手達も、トラブルを抱え苦しんでいる。

アルメル・トリポン(ARMEL TRIPON/L’OCCITANE EN PROVENCE)は、レース開始から2日が過ぎた夜中、J3セイルのハリヤードフックが壊れJ3がデッキに落ちてきた。リペアをするために、一時スペイン沖へと向かったが、洋上で対処ができ、進路を再び南へと変え走り出した。

時を同じく、優勝候補のジェレミ・べユ(JÉRÉMIE BEYOU/CHARAL)は、大きなトラブルを抱えていた。夜中に未確認物体(UFO)と接触し、ラダー(舵)やバックステーを損傷してしまった。損傷が大きく、ファブリスと同様に、スタート地点へと引きかえし修理する事を決断した。優勝だけが目標で、スタート1週間前に父親が危篤状態になってもレースを優先してきただけに、彼にとっては、つらい決断となったが、先ほど行われた記者会見(フランス時間11/16(月)16:00)で、再出発する事が発表された。

また最新情報としては、レース7日目にニコラ・トルセル(NICOLAS TROUSSEL/CORUM L’EPARGNE)がディスマスト。ニコラは無事で、カーボベルデ諸島へ向かう方針を示している。これ以上の詳細は分かっていないが、予選レースの一つでもあったTransat Jacques Vabreでニコラのパートナーを務め、現在Top集団を走っているジャンからは、「ニコラ、お前と一緒に出来るだけ遠くまでレースを続けるよ。俺の新しいセール一式とな!(※ジャンは、ニコラのコーチを務めて得た資金でセール一式を購入しVGに出場している)」とメッセージを送っている。

■レースの行方
スタートから、1週間が経過し、Topを走るのは、ジャンと同じく最多5度目の出場のアレックス・トムソン(ALEX THOMSON/HUGO BOSS)。白石とも親交が深いアレックスは、他の新艇とは一線を画す潜水艦のようなデザインとコンセプトの新艇で、初優勝を目指している。
レースはまだ序盤、これからフォイル艇に有利な海況が訪れるそうだ。ひと時もレースの行方から目が離せない。

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